男女雇用機会均等法
労働者が性別により雇用の分野において差別されることなく、かつ、女性労働者が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮することができるよう雇用環境を整備する等のために設けられている法律です。
- 1 雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止
事業主が、労働者に対し、募集・採用、配置(業務の配分及び権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の変更において、性別を理由に差別的取り扱いをすることは禁止されています。
禁止される差別の例
- 募集又は採用に当たって、男女のいずれかを排除すること。(例えば、「総合職」は男性のみ募集・採用とか、「パート」は女性のみ募集・採用などは禁止されています)
- 一定の職務への配置に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること。(例えば、営業や秘書、企画立案、定型的な事務処理等の業務への配置について、その対象を男女のいずれかのみとすること)
- 福利厚生の措置の実施に当たっての条件を男女で異なるものとすること。(例えば、女性労働者についてのみ、婚姻を理由として、社宅の貸与の対象から排除すること)
- 退職の勧奨に当たって、その対象を男女のいづれかのみとすること。(例えば、女性労働者に対してのみ、経営の合理化のための早期退職制度の利用を働きかけること)
- 労働契約の更新(雇止め)に当たって、その対象から男女いづれかを排除すること。(例えば、経営の合理化に際して、男性労働者のみを契約更新の対象とし、女性労働者については契約更新をしないこと)
ただし、ここに示したのはあくまで例示なので、これら以外であっても差別的な措置であれば、当然、法違反となります。
- 2 間接差別の禁止
間接差別とは
1、性別以外の事由を要件とする措置であって、
2、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
3、合理的な理由がないときに講じること
を言います。
厚生労働省令で定める以下の3つの措置については、合理的な理由がない場合間接差別として禁止されています。
- 労働者の募集又は採用に当たって、労働者の身長、体重、又は体力を要件とすること。[合理的な理由がないと認められる例]
荷物を運搬する業務を内容とする職務について、必要以上に強い筋力があることを要件とする場合。
- コース別管理における「総合職」の労働者の募集又は採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。[合理的な理由がないと認められる例]
広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、長期間にわたり、本人が希望した場 合を除き、転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合
- 労働者の転勤に当たり、転勤の経験があることを要件とすること。[合理的な理由がないと認められる例]
特定の支店の管理職としての職務を遂行する上で、異なる支店での経験が特に必要とは認められない場合において、当該支店の管理職に昇進するに際し、異なる支店における勤務経験を要件とする場合。
この3つの措置以外については、均等法違反とはなりませんが、差別的な措置であるならば、争うことは可能です。
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- 3 女性労働者に係わる措置に関する特例
事業主が、職場に事実上生じている男女間の格差を是正することによって男女の均等な機会・待遇を実質的に確保すするために、女性のみを対象とする又は女性を有利に取り扱う措置は、法違反とはなりません。
なお、一定の区分、職務、役職において、女性労働者の割合が4割を下回っている場合であれば、事実上格差が存在していると判断されます。
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- 4 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
- 婚姻、妊娠、出産を退職理由として予定する定めをすること。
- 婚姻を理由に女性労働者を解雇すること。
- 厚生労働省令で定められている事由を理由に、女性労働者に対し不利益な取扱いをすること。 以上は、禁止されています。
また、妊娠中・産後1年以内の解雇は、事業主が、妊娠等が理由でないことを証明しない限り無効とされています。
※厚生労働省令で定められている事由
- 妊娠したこと
- 出産したこと
- 母性健康管理措置を求め、又は受けたこと
- 危険有害業務等に就けないこと、これらの業務に就かないことの申出をしたこと、又 はこれらの業務に就かなかったこと
- 産前休業を請求したこと又は産前休業したこと、産後に就業できないこと、又は産後休業したこと
- 軽易業務への転換を請求し、又は転換したこと
- 時間外等に就業しないことを請求し、又は時間外等に就業しなかったこと
- 育児時間の請求をし、又は取得したこと
- 妊娠又は出産により労働できないこと、労働できなかったこと、又は能率が低下したこと
禁止される不利益取扱いの例
- 解雇すること
- 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
- あらかじめ契約の更新の回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること
- 退職の強要や正社員からパートタイム労働者等への労働契約内容の変更の強要を行うこと
- 降格させること
- 就業環境を害すること
- 不利益な自宅待機を命ずること
- 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと
- 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと
- 不利益な配置の変更を行うこと
- 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと
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- 5 セクシャルハラスメント対策
- 事業主は、職場におけるセクシャルハラスメント対策として、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。
厚生労働省指針~雇用管理上講ずべき措置の内容
- セクシャルハラスメントの内容及びセクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
- 行為者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
- 相談窓口をあらかじめ定めること。
- 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、現実に生じている場合だけでなく、その発生の恐れがある場合や、セクシャルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。
- 相談の申出があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
- 事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置をそれぞれ適切に行うこと。
- 再発防止に向けた措置を講ずること。事実関係が確認できなかった場合も同様の措置を講ずること。
- 相談者・行為者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること。
- 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
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- 6 母性健康管理措置
事業主は、妊娠中・出産後の女性労働者が保健指導・健康診査を受けるために必要な時間を確保し、医師等による指導事項を守ることができるようにするための必要な措置を講じなければなりません。
○必要な時間の確保
妊娠中妊娠23週まで 4週間に1回
妊娠24週から35週まで a 2週間に1回
妊娠36週以降出産まで a a 1週間に1回
産後医師等が健康診査等を受けることを指示したときは、その指示するところにより、必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。
○妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合、その指導を守ることができるようにするために、事業主は、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければなりません。
・妊娠中の通勤緩和(時差出勤、勤務時間の短縮、交通手段・通勤経路の変更等)
・妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、回数の増加、休憩時間帯の変更 等)
・妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業 等)
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- 7 派遣先に対する男女雇用機会均等法の適用
労働者派遣が行われる場合においては、派遣先もまた、均等法に定められた妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止、セクシャルハラスメント対策としての雇用管理上の必要な措置や母性健康管理措置についての規定が適用されます。